昆虫操縦型ロボット



昆虫の適応能力を解明するために,昆虫自身がロボットを操縦する昆虫操縦型ロボットを開発した.
ボール上の雄カイコガは,雌の性フェロモンを受容すると探索行動を開始し,自身の歩行運動によってボールを回転させる.ボールの回転は光学センサで読み取り,ロボットの運動へ変換される.昆虫ー操縦型ロボットは,カイコガと同様ににおい(フェロモン)源に向かって定位する.

      
図1:ロボットのモータのゲインを非対称に設定した.


    
図2左:前方を透明のシートでカバーし見える状態で運転
図2右:前方を紙でカバーし見えない状態で運転



ロボットのモーターのゲインを非対称に(1:4)に制御した.この条件では,カイコガが直進しても左に旋回することになる.紙でカバーした条件(図2右)では,カイコガは回転するばかりだが,前方を見ることのできるカイコガ(図2左)は,ロボットの異常な動きを検知し,匂い源に向けて定位できるようにロボットの動きを補正する.
このようにカイコガにとって不自然な状況を作り出しても,カイコガは視覚情報をもとに補正を行い,フェロモン源へたどり着くことが示された.