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小学3年生から中学3年生までの10名の子どもたちと、3月22日(土)と29日(土)の各回5名ずつに分かれ保護者も一緒に、筋肉が発生する電気(筋電位)を計る電子装置をつくり、観察し、スクラッチからつくられたPictoBloxというブロックプログラミングで、マイコン(ESP32)をつかって筋電位の信号でLEDを点滅させたり、チョロQを操縦する実験を行いました。
参加したみなさん、お疲れさまでした。ご指導に当たられたみなさまには、ありがとうございました。
はじめは難しそうな装置に見えたかと思いますが、筋肉の電気をはかる装置が、いともたやすく10分ほどで組み立てられ、マイコンのプログラミングがいともたやすく組むことができることに驚きましたね。
以下の「概要」の通り、このような技術が最先端の医療現場でもつかわれているのです。
これを機会に、生物だけでなく、機械や電気、コンピュータなどの工学や情報学が一緒になることで、新しい世界が広がっていることがわかっていただけたと思います。
さまざまな分野がすべて大切なのです。

2025年3月22日(土)

2025年3月29日(土)

日時・場所

日時
2025年3月22日(土)、29日(土):13:00-16:00(先端研見学も含みます)(22日、29日は同じ内容となります)
場所
東京大学先端科学技術研究センター:3号館中二階セミナー室およびアトリウム (キャンパス地図
募集人数
各回5名程度
(注意:今回は参加費とは別に、製作した筋電位計測装置その他消耗品を持ち帰る場合は5,000円が必要となります。)
参加希望の方はこちらからご応募ください  チラシ

教室の概要

これまで自然探究学校では筋電位でチョロQやドローンをコントロールする実験をおこなってきましたが、今回は実際に筋肉が発生する電気(生物電気)を測る装置(筋電位計測装置)を製作し、その信号を使って、LEDを点灯させたり、チョロQ、ロボットカー、ドローンを動かす実験をします。
計測装置は少数の部品と簡単な配線で作ることができます。また、それを動かすプログラムもスクラッチのようなブロックによるプログラミンでおこないます。はじめてプログラミンをする方、はじめて電子工作をする方も楽しく始められると思います。こんなに簡単に筋電位計測装置がつくれること、またこんなに簡単にスクラッチでプログラムをして、筋電位でLEDなどをコントロールできることにびっくりすることと思いますよ。

人の動きから生じる電気(生物電気)を測ることは、医療分野では脳波、筋電図などがよく知られています。そこで使われる装置は高額ですが、今回は廉価で簡単にそのような装置を作ってみたいと思います。

このような計測は、病気や事故により体が動きにくくなった方が、からだの少しの動きで生じる生体電気によって、電動車いすを操縦したり、指の少しの動きで生じる生体電気で、コミュニケーションするという場面でもたいせつな技術となっています。

生物のことをよく知って、電子技術(IOT)を使うことで、たくさんの応用が可能になります。また、このような技術を使うことで、動物・昆虫や植物の活動を測る応用も可能になります。この機会に、生物電気についいて考え、またそれを活用して、より生物のことが理解できるようになってもらいたいと思います。また、このような技術を社会に役立てることも考えてもらいたいと思います。

製作する「筋電位計測装置」の全容
左側が筋電位を大きくする電子回路。右側のマイコン (ESP32 または Arduino nano) に接続したLED(緑)を筋電位がある大きさの電位以上になると光るようなプログラムをスクラッチ(PictoBlox)でつくります。

製作する「筋電位計測装置」

ブレッドボードという基盤の穴に電子パーツを差し込んで、ワイヤでパーツをつなげていく作業になります。作業は楽しみながらできると思います。
パーツも、写真中央のアンプ(LT1167;計装アンプといいます)が1つ、あとは、抵抗4つ(3つの固定抵抗と1つの可変抵抗)、2つのコンデンサと1つのLEDという少ない点数です。これだけ簡単な装置で人の筋肉の電気(筋電位)を計れることに驚くことでしょう!
ここでは、腕に力を入れた時に起こる筋電位を計ってみましょう。
この装置を使うことで、他の動物や昆虫からも筋肉の活動を計ることができるのです。

詳しくは、筋電位を計測するためのアンプの作製 をご覧ください。

ブロックプログラミング

筋電位でLEDのオンとオフをコントロールしてみよう

計測した筋電位でマイコン(ESP32または Arduino nano)に接続したLEDを点滅させます。
プログラムは、スクラッチ(PictoBlox)で作ります。

はじめに、LEDを点滅させるプログラムからはじめ、外部からの電圧を計るプログラム、そして、筋電位を計るプログラムと順番に進めていきます。
左は、電圧を計るのスクラッチのプログラムの例です。

プログラムはノートパソコン(Windows11)で行います。

左は、筋電位を計るスクラッチプログラムの例です。
筋電位(電圧)の大きさが、ある一定の大きさを超えるとLEDが光ります。
その値より下がると、LEDは消えます。
このプログラムを例に、ぜひみなさんでさらに楽しいプログラムを作っていきましょう。

マイコン

筋電位の信号を左のようなマイコン(ESP32 または Arduino nano)に入力することで、マイコンに接続したLED(ここでは黄)を点滅させてみましょう。写真の右にパソコンと接続するUSBport (USB Type-C) がありますが、それを使ってPCと接続します。USBの大きさは皆さんも知っていると思いますが、マイコンはこんなに小さな装置(2x4cm程度)なんですよ。小さなコンピュータです。1,000円から1,500円くらいで手に入るようになってきました。この教室では、 ESP32をつかってみます。

自分でつくった「筋電位計測装置」とブロックプログラミングで、みなさんの腕の筋肉の活動を計って、その信号でなんとLEDが点滅する、そんな体験をすることができるようになります。

筋電位でLEDを点滅させることができれば、同じようにして、照明のオン・オフ、チョロQやロボットカーのコントロール、ドローンのコントロールもできるようになりますよ。チョロQやドローンのコントロールはデモもしてみたいと思います。

参考

0.20250322-29-子ども自然探究教室 実験説明ビデオ(スタッフ用)
1.マイコンプログラミング初歩編
2.筋電位を計測するためのアンプの作製
3.筋電位計測と筋電位によるロボット制御ためのレッスン