高野山・和歌山から「利他のこころ」「いのちの大切さ」を世界に発信する
・ 最新情報:進捗・参加機関・自治体情報
・ 「利他の蓮華」リーフレット(予定)
・ 「利他の蓮華」オブジェの制作コンセプトについて
・ 「利他の蓮華」解説(英語バージョン)
最新情報
2025年2月10日(月)
宮大工 尾上氏の「利他の蓮華」の作業風景
法輪の回転により上部の設置される高野紙で製作した蓮華の八葉が開閉することになる。
2025年2月20日(木)-21日(金)
制作スタッフ全員が高野山に集合し、「利他の蓮華」の製作と打ち合わせを行いました。
1.万博および高野山での展示場所と展示期間
万博会場:
・関西パビリオン 和歌山ゾーン
展示期間:2025年9月30日(火)から10月9日(木)
・イタリア館
展示期間:7月26日(土)(その他の日程は相談中)
「高野山会議-イタリア」をイタリア館で開催し、その場での展示を検討中
高野山:
・高野山学びの杜
完成式典:7月7日(月)13:00-
・高野山大学黎明館
展示期間:2025年7月8日(火)ー7月24日(木)(予定)
・高野山金剛峯寺 新別殿
展示期間:2025年8月2日(土)-9月28日(日)(予定)
2.趣 旨
人はさまざまな自然環境や人と人とのコミュニケーションを通して理性や感性を育みます。それらは育った自然環境や培われた経験により多様で個性豊かなものとなります。しかし今、インターネットやゲームにスマートフォンと、無機質な情報にあふれた時代となり、自然と触れ合う経験も少なく、人と人との直接のコミュニケーションを介さない関係も生まれています。また、世界では紛争、戦争が起こり、さらには飢餓や異常気象などの地球規模の問題が積み重なってきています。
今重要なことは、人は自分だけではなく他の人、そして自然界のあらゆるものが大切であり、わたしたちはそれらの関係性のなかで生かされているという人本来のこころ(「利他のこころ」「いのちの大切さ」)を取り戻すことと思います。自然のあらゆるものの立場になることで、人類の平和と安寧が持続していくものと思います。このような「こころ」は古来、日本そして高野山・和歌山をはじめとする紀伊山地においても受け継がれてきたものです。
このような人として大切な「こころ」を子どもたちに受け継ぎ、世界に伝えていくうえでは、来年2025年に開催される大阪・関西万博はまたとないチャンスです。そこで、先端研が連携協定を結んでいる高野山大学・金剛峯寺、そして高野町、橋本市、かつらぎ町、さらには和歌山県と連携して、日本のこころをオブジェの制作(図1)、展示を通して、大阪万博から発信していくため、「利他の蓮華」事業を展開しています。
「利他のこころ」「いのちの大切さ」、そして伝統と文化を子どもたちに受け継いでいくことで、子どもたちが大輪の花を咲かせ、そして世界のすべての人々が幸せになることを祈り、本事業を展開しています。
なお、本事業は先端研と連携協定を結ぶ自治体、機関、そして本事業の趣旨に賛同をいただいた自治体、団体や個人のご支援により進めています。
3.「利他の蓮華」オブジェ制作の方針とコンセプト
制作方針
「利他の蓮華」オブジェの模型を図1に示しています。上部から八葉の蓮華の花弁、法輪、そして蓮華座からなります。高野山の六角経堂と同じように法輪部分を来場者が協力して回すことで花弁が開く仕組みです。一枚一枚の花弁は和紙(高野紙)でできています。日本の伝統文化である折り(紙の折技術)により作成します。折には宇宙工学や医療工学でも活用されている特殊な技法を取り入れ、伝統文化と最新科学との古今の叡智を融合しています。蓮華の内部には胎蔵曼荼羅をモチーフに、あらゆるものがつながり、すべてが大切であるという日本古来の「こころ」を表現します。八葉が開くと2-3mの大きさになります。
花弁が開閉する機構は、日本の宮大工の技術により、からくり人形のように木の組み合わせにより製作します。また、基部の蓮華座は、ねぶたの技術をもちいて製作します。

図1.「利他の蓮華」オブジェ(初期模型)
上部から八葉の蓮華の花弁、法輪、そして蓮華座からなります。高野山の六角経堂と同じように法輪部分を
来場者が協力して回すことで花弁が開く仕組みです。八葉が開くと2-3mの大きさになります。
4つのコンセプト
1)「利他のこころ」「いのちの大切さ」を世界に発信
子どもたち、高齢者、障害者をはじめ多くの皆さん、そして自治体、高野山大学、東大先端研が協力し、一緒に「利他のこころ」「いのちの大切さ」を日本へ、そして世界に発信していきます。
2)地域の力による合作(万博参加型)
子どもたちが力を合わせ、和紙片(3.5cmx3.5cm程度)に「夢」を記して、「利他の蓮華」オブジェの蓮華座(図1)に張付けることでオブジェを完成させていきます。高野町はじめ各自治体にご協力を仰ぎ、子どもたち、障害者をはじめ地域の多くのみなさんが力を合わせることでオブジェのパーツ(蓮華座の1つなど)を完成させていきます。そのためのイベントを講演会も交えて各地域や自治体で開催します。
貼付けの終わったオブジェのパーツはすべてを高野山に集められ「利他の蓮華」オブジェを完成させます。高野山から万博会場に送り届けるイベントを開催します。全体で10,000人の子どもたちに協力いただくことで、各教育委員会と相談しています。また、先端研キャンパス公開でもイベントを実施予定です。都内でも制作の協力を依頼する予定です。
制作に関わったたくさんの子どもたちが万博を訪れたときには、和歌山ゾーン(さらにイタリア館)でオブジェを鑑賞しながら参加・協力することの大切さ(利他)、そして「いのちの大切さ」を体感してもらいたいと考えています。有志の子どもたちには日本語、外国語(英語・中国語・イタリア語など)でオブジェの趣旨の説明をしていただくことも検討しています。
先端アートデザイン分野の客員准教授でもあるRossella Menegazzo氏(ミラノ大学准教授)が文化部門代表を務めるイタリア館においても「利他の蓮華」オブジェを展示いただくことで相談をしています。
3)文化・芸術・伝統工芸の伝承
オブジェの最上部の八葉の蓮華は和紙(高野紙)で作られます。日本の伝統文化である折り紙、折りの技術により制作します。一葉はA3で20枚の大きさに表装した和紙を使用します。制作には和紙がA3換算で約600枚が必要となります。本事業のために西細川活性化実行委員会のみなさまの協力で、和紙を新たに漉いていただきました。オブジェの法輪の回転機構や蓮華座には、「宮大工」や「ねぶた」の技術を活用します。和紙、宮大工、ねぶたを活用してオブジェを制作することで、地域の文化・芸術・伝統工芸のさらなる周知、活性化を図るとともに、子どもたちのSTEAM教育にもつなげていきます。
参考:
宮大工
・ 尾上恵治さん「高野山を守り伝えるマイスター」
和紙
・「高野紙」紙漉きについて(飯野尚子)
・ 高野細川紙研究会
・『世界の紙と日本の紙』高野紙
ねぶた
・facebook
・youtube
4)環境配慮:リサイクルとSTEAM教育
和紙などオブジェ制作に使用した素材(紙と木)はすべて再利用します。リサイクルも重要なテーマです。日本古来の伝統技術である和紙やねぶた、そして宮大工の技術により作成した回転機構は、からくり人形を彷彿する機構です。「利他の蓮華」を通して、日本の古来の伝統技術や伝統美を子どもたちのSTEAM教育の教材として活用していきます。また、高野山はじめ地域や自治体での祭りの神輿としての利用も検討しています。
「利他の蓮華」オブジェ制作の目的と4つの方針(方法)

4.「利他の蓮華」オブジェ(試作)について


蓮の一葉が一枚の和紙からつくられ、八葉が連結され閉じた状態から、法輪の回転により蓮が開いた状態へと変化します。蓮が開いた状態で直径約2-3mのオブジェとなる予定です。
折り紙は一枚の紙から多様な形が生まれ、一枚ですべてがつながりながらもさまざまなかたち(意味や価値)がうまれるという特徴をもちます。これは弘法大師空海の思想である「人は自然の一部であり、関係性のなかで生かされている」を具現化したものと考えています。折り紙は日本の文化・芸術・伝統工芸でもあり、和紙を使った折り紙は今回の「利他の蓮華」オブジェには最適と考えています。
和紙で作成した蓮華八葉が開閉する様子
(モデル)
「利他の蓮華」オブジェの制作には伝統工芸である和紙、宮大工やねぶたの技術を使います。折り紙の伝統技術に宇宙工学や医療工学で使用される最新の工学技術もくわえ、伝統と最新科学を融合した新しい技術によりオブジェを制作します。

「利他の蓮華」の機構部の基本構造の斜視図
(作図:藤原和博)
下部の支持構造上部の回転部(法輪)の回転により、和紙で作成した最上部の蓮華八葉が開閉します。宮大工の尾上氏のご協力により、木材で制作します。また、基部は蓮華座となりますが、ねぶたの技術により制作し、表面には和紙をはりつけます。和歌山県の小中学生を中心に和紙片に「夢」などを書きはりつけていただくイベントを開催予定です。
イベントの詳細は、https://www.brain.rcast.u-tokyo.ac.jp/aad/rita-info/ をご覧ください。
5.リーフレットの作成
万博会場では、「利他の蓮華」オブジェの制作の背景から意義、高野山・和歌山のこころ・精神性についてより深くご理解をいただくためにリーフレットの配布を予定しています。
6.地域の小中学生によるオブジェへの和紙貼り付けイベントの開催(2025年6月から7月)
(詳細:https://www.brain.rcast.u-tokyo.ac.jp/aad/rita-info/)

地域の小中学生を主な対象に「利他の蓮華」オブジェのイベントを開催します。小さな高野紙片に子どもたちには夢や希望など自身の思いを書いてもらい、オブジェの法輪や蓮華座に張り付けるイベントを開催します。このイベントでは、制作担当者が講義形式で、このオブジェ制作の背景や意味、そして「利他のこころ」「いのちの大切さ」を大阪万博から世界に発信していくことの意味や意義を子どもたちとともに考えたいと思います。そして、思い思いのメッセージを和紙片に描き、蓮華座に貼り、オブジェを完成させていきます。
蓮華座は8のパーツにわけています。各パーツを地域や自治体にお送りすることで、同様にイベントを開催します。そして、すべてのパーツが高野山に集まり、それらを組みあわせて「利他の蓮華」オブジェを完成させます。大阪・関西万博に送り届けるイベントを高野山で開催したいと考えています。
参加した子どもたちには、万博会場を訪れた際には、このオブジェを見に来ていただき、有志の子どもたちには、このオブジェの意味や意義を日本語と外国語(英語、中国語、イタリア語など)で来場者に説明をいただき、「利他のこころ」そして「いのちの大切さ」を世界中のみなさんに自分の言葉で発信してもらいたいと考えています。
7.広報活動
本プロジェクトでは、「利他の蓮華」オブジェクトの制作と並行して、「利他のこころ」を瞑想をとおして伝えるVRの制作も進めています。VRや本HPを通して、大阪・関西万博開催の前から、「利他の蓮華」オブジェの広報活動をおこなうことで、世界各国から多くのみなさんに本オブジェ、さらには和歌山館におこしただく活動を展開予定です。
8.協力自治体、機関・企業・団体
・高野山大学
・東京大学先端科学技術研究センター
・株式会社 資生堂
・富士通株式会社
・アーティスト 益子遼祐
・アーティスト 大島空代
・かつらぎ町、かつらぎ町教育委員会
・九度山町教育委員会
・高野町、高野町教育委員会
・橋本市、橋本市教育委員会
・和歌山市、和歌山市教育委員会
・白浜町、白浜町教育委員会
・田辺市、田辺市教育委員会
・和歌山県
・高野山金剛峯寺
・高野町商工会青年部
・株式会社尾上組
・西細川活性化実行委員会
・表具師 大西籠志堂
・株式会社 Enjin
・森の願い
・和歌山南ロータリークラブ
・一般社団法人マンダラプロジェクト
9.制作スタッフ
・藤原和博 富士通株式会社 デザインセンタ クリエイティブディレクター、チーフデザイナー、
東大先端研交流研究員
・大島空代 東京藝術大学大学院美術研究科芸術学日本・東洋美術史専攻、東大先端研交流研究生
・益子遼祐 東京大学大学院情報理工学系研究科、東大先端研交流研究生、折り紙アーティスト
・幸島柚里 株式会社 資生堂 ブランド価値開発研究所、東大先端研交流研究員
・松長潤慶 高野山大学 副学長・教授
・神﨑亮平 東京大学名誉教授、東京大学先端科学技術研究センター シニアリサーチフェロー
10.制作協力者
・和紙(高野紙〔細川紙〕):飯野尚子(高野町教育委員会)
中坊佳代子、明松政二、花岡成治
西細川活性化実行委員会、高野町西細川地域担当職員、町職員
・宮大工工法による法輪の回転機構などの制作:尾上恵治(株式会社尾上組、一級建築士)
・ねぶた技術による蓮華座の制作:高野町商工会青年部のみなさま
・表具師:大西正幸(大西寵志堂)
・デザイン助言:吉本英樹(東大先端研特任准教授、万博和歌山ゾーン総合ディレクター)
・デザイン助言:Rossella Menegazzo(ミラノ大学准教授、大阪・関西万博2025イタリア館文化部門代表、
東大先端研客員准教授、先端研AADアドバイザー)
11.ご寄付・補助金など
・和歌山県補助金
・高野町補助金
・高野山金剛峯寺
・高野山大学
・東京大学先端科学技術研究センター(RCAST助成)
・個人ご寄付
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