無脊椎動物の感覚・脳・行動の比較行動生理学
昆虫は外界のさまざまな信号に反応して多様な行動を示します。単純な反射から定型的な行動パターン、記憶学習行動、そして社会行動までも示します。このような行動をおこす感覚受容器、脳の構造や機能について解説します。異なる種間での構造や機能を比較することができます。ここでは、昆虫の受容器、脳、そして行動について解説するとともに、昆虫ごとについても、それぞれを比較できるようにしました。
昆虫の神経科学の基礎
■ 昆虫の感覚器(嗅覚系)の解説
■ 昆虫の脳神経系の解説
■ 昆虫の行動の解説
■ 昆虫の感覚情報処理と行動
■ 昆虫のニューロンの調べ方
最新トピックス
■ 昆虫-ロボット融合システム(サイボーグ昆虫)
■ 単一ニューロンのモデル化(マルチコンパートメントモデル)
■ 昆虫脳を再構成する:次世代スーパーコンピュータ
■ 昆虫行動制御・神経回路修復
■ 計測装置の製作
さまざまな無脊椎動物の行動・受容器・脳神経系の構造と機能の比較
さまざまな無脊椎動物の行動・受容器・脳神経系の構造と機能の比較

図:カイコガの脳。脳は前大脳、中大脳、後大脳から構成される。脳内には、神経が集まり神経情報を処理する集合体(神経叢)ある。代表的な神経叢は、前大脳の視葉、キノコ体、前大脳側部、中心体、そして中大脳の触角葉である。脳の下部には食道下神経節がつながる。スケールは0.5mm。
表:さまざまな無脊椎動物の行動・受容器・脳神経系の構造と機能の比較
カイコガ | セイヨウ ミツバチ | クロコオロギ (フタホシ コオロギ) | ルリキンバエ | アメリカ ザリガニ | ジョウジョウバエ | サバクバッタ | ワモン ゴキブリ | ナミアゲハ | クロ オオアリ | |||
特徴的行動 | ○ あり | – | ○ | ○ | – | – | – | あり | あり | あり | ||
感覚受容器 | ○ | 〇 | – | – | – | – | – | |||||
運動出力系 | ○ | |||||||||||
脳 Brain | 脳全体 | ○ | ○ | あり | △ あり | ○ あり | ○* | あり | – | |||
前大脳 proto cerebrum | 視葉 optic lobe | ○ | ○ | あり | △ あり | あり | ○* | あり | ||||
キノコ体 mushroom body | ○ | ○ | △ | △ | – | ○* | – | あり | ||||
前大脳側部 lateral proto- cerebrum | ○ | △ | △ | △ | △ | – | – | あり | ||||
側副葉 lateral accessory lobe | ○ | △ | △ あり | △ | – | – | – | あり | ||||
中心体 central body | ○ | ○ | あり | △ | あり | ○* | – | あり | ||||
中大脳 deuto- cerebrum | 触角葉 antennal lobe 構造 | ○ | ○ あり | △ | △ | – | ○* | あり | ||||
後大脳 trito- cerebrum | – | あり | – | – | – | – | ○ | |||||
食道下神経節 suboesophageal ganglion | – | あり | – | – | – | – | ○ | |||||
胸部神経節 thoracic ganglion | – | あり | – | – | – | – | – | |||||
腹部神経節 abdominal ganglion | – | あり | – | – | – | – | – | |||||
関連情報 | ○ あり | 運動出力系 | ○ | – | – | – | – | 運動出力系 | ||||
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