テーマ:WAの芸術とデザイン
日時:7月22日(火)16:00~18:00
場所:金剛峯寺大会議室
キーワード:和、アートデザイン、ネイチャーセンタード、サステナビリティ、匠
セッション概要:1200年後の私たちの環境と生活、文化はどう変わっていくのか。それは産業革命以降の100 年余を総括して、我々の世界を変革する持続可能な開発や今後の私たちの思想とその行動が反映されていく事でしょう。アートデザインという視点を通して、物質中心の拡張主義から解き放たれた日本の新たな文化の方向性を考察することは今後の重要な課題です。宗教観と芸術とデザイン、そのクリエーションにおけるサステナビリティ、レジリエンスとは、アートデザインの現在と未来において、消えゆくもの消えざるものとは、 私たちが残していかなければいけない美とその精神性は何でしょうか。
このセッションでは、日本発のアートとデザインのメッセージを更なる未来に繋げることが目的です。そこで注視したいのが「手の知力」です。手とコミュニケーションから生み出されるクリエーションや伝統技術、匠の思考、それを活かした伝統と革新性が融合したアートデザイン思考です。
本年度は、テキスタイルデザイナーの須藤玲子氏、陶芸作家の若林和恵氏をお迎えしてセッションを行います。須藤玲子氏は、テキスタイルデザイナーで、日本各地の職人や研究者たちとやりとりを重ね、自分たちだからこそできる事を探り続けている株式会社「布」のデザインディレクターでもあります。伝統的な染織技術を最新の素材や製造技術と融合させながら、一点もののアートピースだけではなく暮らしに寄りそうプロダクトとしてのテキスタイルにも重きを置いています。繊維製品を取り巻く環境問題や社会情勢から目をそらさず、未来を見据えた 素材選びと生産工程を見いだす活動を行っているテキスタイル分野の第一人者です。陶芸作家の若林和恵氏は、現代陶芸の今とその可能性を探る菊池ビエンナーレで、昨年、女性初の大賞を受賞しています。東日本伝統工芸展でも戦後、女性初の大賞を受賞。東京藝大で学んだ後イタリアへ渡りファエンツァで陶芸の研鑽を積んでいます。
「異なるものを作品の中で融合させたい」という思い、白と黒の間のグレーの部分といった曖昧なところを作品の中で表現する事、日本人というルーツがあるからこそ生まれた作品が生まれた背景や女性作家としての問題意識をご講義頂きます。
「1200年後の世界」との関わり:1200年後の私たちの環境と生活、文化はどう変わっていくのか。それは、産業革命以降の100年余を総括して、我々の世界を変革する持続可能な開発や、今後の私たちの思想とその行動が反映されていくだろう。芸術デザインという視点を通して、物質中心の拡張主義から解き放たれた新たな芸術の方向性を考察する。
登壇者(統括:伊藤 志信)

伊藤 志信 Shinobu Ito 東京大学先端科学技術研究センター特任准教授
デザイナー。ミラノ工科大学特任教授、多摩美術大学客員教授、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授。プロダクトから空間、先行開発まで多岐にわたるデザインを行い、数多くの作品を発表、また空間やプロダクトデザインのコンサルタントを行っている。世界各地の展示会に参加、多くの媒体に作品が掲載されている。“Woman Made_great woman designers” 掲載。IF design/独、ゴールデンコンパス/伊、Reddot Award/独、等の国際デザイン賞を受賞。2019年の空間作品により「Mastro d’arte della pietra」の称号を授与する。

須藤 玲子 Reiko Sudo テキスタイルデザイナー
テキスタイルデザイナー。茨城県石岡市生まれ。株式会社 布デザインディレクター。東京造形大学名誉教授。2008年より良品計画、山形県鶴岡織物工業協同組合他のテキスタイルデザインアドバイスを手がけ、2016年より株式会社良品計画アドバイザリーボード。作品はニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ロサンゼルス州立美術館、ビクトリア&アルバート博物館、東京国立近代美術館他に永久保存されている。

若林 和恵 Kazue Wakabayashi 陶芸作家
1991年東京藝術大学美術学部工芸科陶芸専攻卒業、1993年東京藝術大学大学院美術研究科陶芸専攻修士課程修了、1998年イタリア・ファエンツァ国立陶芸美術学校卒業、イタリアにて作陶(〜2001年)、日本工芸会正会員、横浜市にて制作。
〈受賞〉第65回東日本伝統工芸展最優秀(都知事)賞、第10回菊池ビエンナーレ大賞、第16回現代茶陶展奨励賞〈作品収蔵〉ファエンツァ国際陶芸博物館(イタリア)、菊池寛実記念 智美術館(東京)、緑ヶ丘美術館(奈良)、土岐市(岐阜)
