ひとはなぜ戦争をするのか?
セッションタイトル
「ひとはなぜ戦争をするのか?」
日 時:7月13日(土)9:00-11:30
会 場:高野山大学201大教室
キーワード
先端技術と倫理、より良き生存、持続可能性、国際関係
オーガナイザー
杉山 正和 東京大学先端科学技術研究センター所長・教授
「1200年後の世界」との関わり
より良き生存を目指すべき人類はその誕生以来殺し合いを続け、科学技術が高度に発展した現在も戦争のない世界は実現できていない。それどころか、核兵器により人類の戦争が地球全体を壊滅させる危機が顕在化している。科学技術の進歩に対応した「新しい啓蒙」を発展させ、人間中心の世界観から、人間が自然の一部として調和を目指す世界観を構築することで、私たちは1200年後の世界を考えるための入口に立てるのではないだろうか。
セッションの概要
国際連盟の依頼から始まったアインシュタインとフロイトの往復書簡(1933年に出版)の中で、二人はこの人類と地球の生存について本質的に重要なテーマについて、当時の知識や知見を基調に真摯な議論を展開した。それから90年経った今も,人類は戦争を繰り返している。現在の科学技術論、そして哲学・宗教を含めた分野横断的な議論を改めて試み、より良き生存の実現に向けた施策を多面的に探る。
登壇者
杉山 正和 東大先端研所長
小泉 英明 先端研フェロー
中島 隆博 東大東洋文化研究所所長
宇野 重規 東大社会科学研究所長
太田 博樹 東大理学研究科教授
池内 恵 東大先端研教授
国末 憲人 東大先端研教授
スケジュール
司会:杉山正和所長・教授(東京大学 先端科学技術研究センター、以下東大先端研、先端研)
A. 話題提供
1.アインシュタインの当時の思い、現在への示唆(物理学と神経科学の視座から)
相手はなぜフロイトなのか?―小泉 英明(東大先端研フェロー―脳神経科学)
2.フロイトの当時の思い、現在への示唆(哲学と心理学の視座から)当時の哲学者・心理学者の考え方、今ならどのような返答がなされるだろうか?
中島 隆博(東大東洋文化研究所長―哲学)
B. ディスカッション
宇野 重規(東大社会科学研究所長―政治思想史・政治哲学)
太田 博樹(東大理学系研究科教授―ゲノム人類学) 池内 恵(東大先端研教授―グローバルセキュリティ・宗教)
国末憲人(東大先端研特任教授―国際ジャーナリズム)
登壇者プロフィール

杉山 正和(SUGIYAMA Masakazu)
専門はエネルギーシステム分野。2000年、東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻博士課程修了。博士(工学)。2016年、東京大学大学院工学系研究科教授、2017年より東京大学先端科学技術研究センター教授、2022年4月より所長を務める。

小泉 英明(KOIZUMI Hideaki)
理学博士。専門は分析科学、脳科学、環境科学。偏光ゼーマン原子吸光法の創 出・実用化による環境計測、開発したMRIや光トポグラフィ法による脳機能計測技術を通じて、「脳科学と教育」など新たな学術分野の発展に寄与している。日立製作所 名誉フェロー、日本工学アカデミー 顧問(前上級副会長、前国際委員長)をつとめる。

中島 隆博( NAKAJIMA Takahiro)
専門は中国哲学、世界哲学。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現 在、東京大学東洋文化研究所教授。主な著書に『共生のプラクシス』(東京大学出版会、和辻哲郎文化賞受賞)、『思想としての言語』(岩波書店)、『日本を解き放つ』(共著、東京大学出版会)、『荘子の哲学』(講談社学術文庫)、『中国哲学史』(中公新書)、『日本の近代思想を読みなおす1 哲学』(東京大学出版会)、他。

宇野 重規(UNO Shigeki)
専門は政治思想史、政治哲学。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学)。千葉大学法経学部助教授などを経て現職。主な著作に『政治哲学へ:現代フランスとの対話』(2004年、増補新装版2019年)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(2007年、講談社選書メチエ、講談社学術文庫版2019年)、『保守主義とは何:フランス革命から現代日本まで』(2016年、中公新書)、『民主主義とは何か』(2020年、中公新書)など。

太田 博樹(OOTA Hiroki)
専門は、人類集団遺伝学、分子人類進化学、ゲノム人類学。1997年、東京大学大学院理学系研究科にて博士(理学)修得。マックスプランク進化人類学研究所(1999年~)およびイエール大学医学部(2001年~)での博士研究員を経て、2005年、東京大学大学院新領域創成科学研究科にて助教。2010年、北里大学医学部にて准教授。2019年より現職。主な著書:「古代ゲノムから見たサピエンス史(吉川弘文館)」太田博樹(2023)[著]、「遺伝人類学入門 - チンギス・ハンのDNAは何を語るか(ちくま新書)」太田博樹(2018)[著]、「ヒトは病気とともに進化した(勁草書房)」(2013)太田 博樹・長谷川 眞理子[共編]など。

池内 恵(IKEUCHI Satoshi)
専門はイスラム政治思想、政治学。東京大学文学部イスラム学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(大佛次郎論壇賞)、『書物の運命』(毎日書評賞)、『アラブ政治の今を読む』、『イスラーム世界の論じ方』(サントリー学芸賞)、『中東 危機の震源を読む』、『イスラーム国の衝撃』(毎日出版文化賞特別賞)、『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』などがある。第12回中曽根康弘賞優秀賞受賞。

国末 憲人(KUNISUE Norito)
専攻は欧州政治、紛争研究。1963年岡山県生まれ。1985年大阪大学卒業。1987年に紀行「アフリカの街角から –サバンナ人間紀行」で第3回ノンフィクション朝日ジャーナル大賞優秀賞を受賞。同年、パリ第二大学新聞研究所を中退し、朝日新聞社に入社。パリ支局長、GLOBE編集長、ヨーロッパ総局長、論説委員などを務め、2023年退職。2024年1月より現職。著書に『イラク戦争の深淵』『ユネスコ「無形文化遺産」』『テロリストの誕生』『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』など。