アート展示2024

EACADDY_テーブル、スツール
■デザイン:伊藤節、伊藤志信
■作品説明:
「イングランディメント」、イタリアのアートデザインで使われる手法の1つで、拡大することで、そのものに対する共感性や存在意義、象徴性を表現している。一貫した手づくりで一世紀を過ぎた今も尚、初代からの手法を守り続けてきた、茶筒づくり日本最古の歴史をもつ京都の開化堂、その茶筒の素材と技法を使い、それをファニチャー(テーブル・スツール)にイングランディメントしたアートデザイン作品である。
■製作者:開化堂
■作成年:2024
■協力:中川木工芸・比良工房
T
Rose
■デザイン:吉本英樹
■作品説明:
高野山の麓、天野の地にある丹生都比売神社。ここに祀られる丹生都比売大神は弘法大師空海に高野山の地を授けた神様です。ときに重ね合わせて語られる、大日如来と丹生都比売大神。その神仏習合のすがたを表現したいと思い、この作品を創りました。そこに描かれるのは、丹生都比売神社に伝わる、美しい薔薇の紋様です。
■制作:株式会社箔一、大蔵山スタジオ株式会社、株式会社ブルド
■作成年:2023
アート展示2023

KOYA 木桶による花器、ワインクーラー
場所:金剛峯寺別殿
デザイン:
デザイナー、東京大学先端科学技術センター特任教授 伊藤節
デザイナー、東京大学先端科学技術センター特任准教授 伊藤志信
制作:中川木工芸・比良工房主宰・木桶職人 中川周
この器は、日本が育んだ自然と人間の智の共創の象徴である。自然の創り出した造形に寄り添いながら、人間の智と自然を融合したデザインは、熟練木工職人の匠の技とのコラボレーションである。木には「落ち着く」「和む」「暖かみを感じる」など癒しの効果があり、日本文化・日本の歴史の中に重要な役割を果たしてきた。杉の木には、心地よい木の香り、心地よい触感があり、人にとって相性のよい自然素材である。神社の境内には必ずといってよいほど杉の大木があり、参道には杉並木が植えられている。大木は風雪から社を守り、人々の精神を支える支柱としての役割を果たしてきた。 また、災害対策や、二酸化炭素の吸収率が高いため、地球温暖化の軽減にもつながっている。日本の杉は地面から垂直にまっすぐ成長する特性があり、切り出す時に直線的な木目が現れ、見た目も美しく通気性や防水性が高い性質があり、古くは酒樽や造船の原料としても使用されてきた。自然の木の表情をできるだけそのまま生かしたデザインは、匠の手により、 年輪に沿って割った板を削り、タガで締め付け立体にし、柔らかくデザインされた機能的な底面から、上方向に向かって自然が沸き立つように姿を変えていく器であり、自然美、無心の美、素材美、機能美を併せ 持つ、ネイチャーセンタードデザインを目指した作品である。

DAWN
場所:金剛峯寺別殿
デザイン:
デザイナー、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授 吉本英樹
制作:株式会社箔一、株式会社リプス・ワークス、INCAMS
熟練した職人の手業によって貼り合わせられた箔に、最先端のレーザー加工技術 (超短パルスレーザーカッター) によって極めて微細なメッシュ状の穴開け加工を施し、そこを透過する光と箔が生み出す表情を具現化した作品。紀元前から続く箔の歴史において、光が向こう側から透ける、透過光による表現は、全く新しい発明。タイトル「DAWN(夜明け)」には、伝統工芸の歴史に新たな1ページを刻みたいという思いが込められ、その夜明けをさらに高次の宇宙から見返したような情景、恒星と惑星が織りなすような光の情景が表現されている。本作は、日本の金箔の98パーセント以上を生産する金沢にあって、その中心的な担い手であり、伝統を守りながら様々な新しい挑戦を続けている「箔一」とのコラボレーションにより制作された。長い歴史を持つ伝統工芸に、現代的な先端技術を掛け合わせて新しい表現を模索し、現在進行形の生きた技術として未来へ繋いでいく。そして未来から振り返ると、
それが伝統の新しい1ページとして紡がれている。そのような発展を目指したコラボレーション。本事業は、東大先端研と、包括連携協定を結ぶ石川県が、共同で資金を出資して運営する「共同研究創出支援事業」に令和4年度に採択され、支援を受けたものである。